こんばんは、久川和人です。

僕がサポートしている方から生き方について聞かれました。

そんなときに思い出した出来事があります。

今回はそんな思いだ出来事についてお話していきます。

それは20年ぐらい前の出来事

それは、20年ぐらい前のこと。

僕は人生が嫌になって、失踪したことがあります。

今まで旅に出たことがなかったので、行きたい場所を旅してお金が無くなったら死のう。

そんな気持ちで、会社を無断欠勤。

お金は持っているだけ全部持ち、そして、首を絞められるようにビニール紐と、少しの着替え、ノートパソコンをスポーツバックに入れて、家を出ました。

失踪先のルートは詳しくは覚えていませんが、仙台、宇都宮、そして西日本へ行ったことがなかったので初めて、大阪、京都、奈良、神戸、姫路、下関、博多、佐賀、沖縄へ数日ごとに移動しました。

昼間は一日観光して、夜は数日ごとにコインランドリーで洋服を洗うといった生活。

当時は、スマートフォンやWi-Fiもなく、ホテルに設置されたパソコンを利用したり、ホテルでノートパソコンをLANケーブルでつないで、つぎに行く場所のホテルを予約しました。

観光地の情報も、観光案内所へ行ったり、本屋やコンビニで旅行雑誌を立ち読みです。

旅はすべてが初めての経験です。とっても毎日が新鮮でした。

USJ、ハウステンボス、グラバー園は一人なのでちょっぴりさみしかったですが、姫路城の美しさに戦国時代のロマンを感じたり、福岡の水族館で一日中、イルカを泳ぐのを見ていたり、沖縄では人生初の海に潜って(酸素マスクを着けて沈んだだけですが、)魚に餌を与えました。

僕は泳げないので、海に行ったことがなかったし、ものすごい経験でした。

イルカはずっと見ていたら、勝手にジャンプとかしてくれて、イルカのショーを見せてくれたし、神社でおみくじを引いたら大吉ばかり。

そういえば、京都では、道に迷っていたら、議員らしい人が現地まで車で送ってくれて、トロッコ列車にまで乗せていただかせてもらいました。残念ながらその方のお名前を伺っていなくてお礼ができません。

食事も、長崎ちゃんぽん、下関のフグ、博多の水炊き・豚骨ラーメン、京都のおばんざい、神戸牛、大阪のたこやき・お好み焼き、沖縄のフーチャンプルなど地元の名物をいただきました。

毎日が楽しかったです。

すべて行ったことのない場所。未知の世界の体験。お金は宿代だけは節約しましたが、あとは好きなように使っていました。

それに、この財布の中身が無くなったら、死ぬだけ。そう思っても恐怖は全く感じませんでした。

お金が尽きかけた

そんな楽しい生活も2か月が経ち、いよいよお金が尽きかけました。最後は一人、夜に、福岡の浜辺にいました。

財布の中には、菓子パンを一つ買えるかどうかの小銭しか残っていません。

一週間ぐらいひげをそっていないので、ひげは伸び放題。少ない服をコインランドリーでガラガラ回してばかりいたので、服もズボンもボロボロ。

僕はとってもみすぼらしい姿でした。

もう使うことがないと思って、ほとんどの服はゴミ箱に捨て、持っていたノートパソコンは福岡の海に投げ捨てました。

失踪してから、やりたいことはやった。あとは死ぬだけ。

後悔もせずに、一人夜の浜辺を歩いていました。

「海ってこんなにきれいなところなんだ。」

「波の音って、こんなにしずかな音なんだ。」

そして、

人生最後にこんな楽しいことができて、幸せだった。

そう思ったとき、今更ながらこんなことを思いました。

僕のしたことで多くの人に迷惑をいっぱいかけた。ごめんなさい。でもそれもこれで終わり。

申し訳ない気持ちがいっぱいになりました。

「でも後戻りはできない。後戻りなんてしない。」

「ホテルとかで首を吊るのは、ホテルの人に悪いし、人気のない海で溺れた方がいい。」

人気のない方へ歩いていきました。でも、福岡の海で人気のない場所なんてなかなか見つかりません。

「深夜まで待つしかない。」

「深夜になったら、海の中へ歩いていこう。」

本気でそう思っていました。

僕がいるよ。

その日は朝から何も食べていなかったので、お腹が空いて、お腹が痛くなってきました。2か月間、ほとんど毎日のように歩いていたので、とっても体が疲れていたのです。

空腹と戦いながら、浜辺を歩いていると、ベンチを見つけました。近くに誰もいません。

ベンチに座り、そのまま深夜2時を過ぎた頃、疲れてベンチでうとうととしている時です。もしかしたら夢の中だったかもしれません。

突然、僕の心の中に何かが話しかけてきたのです。

 

僕がいるよ。

 

その声に、急に目が覚めました。周りには、誰もいないのです。

 

僕がいるよ。

 

また、僕の心の中に話しかけてきました。話しかけてきたのは、人ではなかったのです。その声は財布の中から聞こえてくるようでした。

財布を開けると、その正体がわかりました。

それは、財布の中にあった一枚のクレジットカード。

失踪するとき、財布の中身は現金と、運転免許証、一枚のクレジットカードしか持っていきませんでした。

そのクレジットカードは、購入履歴がわかってしまうと思って、失踪中は一度も出番がなかったのです。

何気なく、そのクレジットカードを両手で持ちました。

僕はクレジットカードに向かって、

「もうこれから海の中に入らないといけないんだ。ごめんね。最後まで使ってあげられなくて。」

と心の中で謝りました。

そうしたら、さらに、僕の心の中に語りかけてくるのです。

 

僕を使えば戻れるよ。

 

って、言うのです。

 

「戻れる・・・?!」

 

その言葉を聞いて、今まで考えていなかった気持ちが心に浮かびました。

そうなんです。クレジットカードを使えば戻れるのです。

家に戻れるのです。

でも今更戻っても、周りの人とどのように接していけばいいのか、というか、接することができない。そう思いました。

でも、戻れるのです。

戻れば大変なことが待っています。誰にも言わずに、会社を無断欠勤して失踪したのですから。

でも、僕の人生の時間が止まることはないのです。

僕はクレジットカードを両手で持ったまま、しばらくクレジットカードを見つめていました。

「使ってみようか。」

僕はベンチから立ち上がり、海の中には行かず、近くにあったホテルに泊まりました。もちろん、クレジットカードを使って。

第二の人生

そして、数日後、会社へ行き始末書を書き、解雇された自分がいたのでした。

こうして、第二の人生が始まりました。

僕は失踪中も、クレジットカードの想いが本心だったのでしょう。でも、失踪していたとき、クレジットカードの存在がなければ海の中に入っていったと思います。

そして、死ぬことができる気持ちさえあれば、生きることなんて簡単だということも学びました。

だって、解雇されても、こうして20年近く経った今、ブログを書いている久川和人という人間がいるのです。戻ってから、うつ病になって休職したこともありますが、今も僕の人生の時間は動き続けているのですから。

 

今は、クレジットカードが語りかけてくることはありません。でも、僕がこうして生きているのは、クレジットカードのおかげだと思っています。人生の最後だと思ったとき、クレジットカードが僕の心の本心を代弁してきた。

そのように思って、僕は生きています。

 

でも、僕は失踪することをおすすめているわけではありません。それは、多くの人に心配や迷惑をかけることになるからです。

そして、この物語には、さらにつづきがあります。興味がありましたら読んでみてくださいね。

 

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