こんにちは、久川和人です。
落ち込んだり、イライラしたり、怒りや焦り、不安などのネガティブな感情になることってありますよね。
そのようなネガティブな感情を上手にコントロールしたいと思いませんか?
今回は、感情をコントロールするには、感情に逆らわないでいることについてお話していきます。
無心でいること
僕はうつ病になり休職したこともあり、そのときは常にネガティブな感情の状態でした。
うつ病になると、どんなことに対しても不安だったり、落ち込んだりするのです。さらに休職ともなると、休職したことへの罪悪感や復職できるかどうかの不安が強くなり、休職した最初のころは、休職前よりもうつ病がひどくなった感じがしました。
ただ休職してからしばらくすると、少しうつ病の症状が良くなるときがあります。そのときは、行動しようというポジティブな感情が生れ、外に買い物や散歩に出かけたり、好きな音楽を聴いたり、ゲームをしたりと活動的になります。
そして、短時間だけ座禅も始めました。そこで、ネガティブな感情をコントロールするには、「無心」でいられることが重要だと気が付きました。
無心であれば、ネガティブな感情に振り回されることはありませんし、ものごとに一喜一憂することもなく、気持ちはいつも平穏なのです。
でも、無心でいられるというのは容易なことではないですよね。
座禅をしていても、「無心でいないといけない」という思いが強いと、かえってそれにとらわれてしまう。「なにも考えてはいけない」、「心を空っぽにしなくてはいけない」ということばかりが頭に浮かんできては無心になれないのです。
座禅をしていても様々な思いが浮かんでくるのは止めようもない。
そのとき思ったのが、浮かんできた思いはそのままほっとけばいいということ。すると、自然に消えていってしまったのです。
浮かぶに任せ、消えるに任せる
浮かぶに任せ、消えるに任せる。それが「無心」に近い心の在り方なのです。
水に手を入れると、さざ波が立ち、波紋が生れます。その波紋をなんとか静めようとして、さらに水に手を入れたら、さらに、いろいろな波紋が生じます。ほおっておけば、次第に波紋は静まっていき、やがて波紋は無くなるのです。
心も同じことが言えると思います。
「雲無心にして岫を出ず(くもむしんにしてしゅうをいず)」
という禅語があります。
岫とは、谷あい、山の穴のこと。谷あいから雲はなにものにもとらわれず、風が吹くままに形を変えて動いていき、雲であるという本分を失うことはない、という意味です。これがまさに、無心を表しています。
僕たちは日々、様々な状況に出合います。いいこともあれば、悪いこともある。いずれにしても、それらにとらわれて心が大きく乱れます。
例えば、ちょっとしたことで怒られたとき、
「あんな言い方しなくたっていいじゃないか!」
といったような心に吹き込んできた怒りにとらわれている。これでは頭の中がそのことでいっぱいになって、心が乱れたままになってしまいます。
もちろん、喜怒哀楽という感情は、人間らしさですので、湧き上がってくるのに任せておけばいいのですが、それを何とかしようとするから、いつまでもその感情から離れられなくなるのです。
おわりに
今回は、感情をコントロールするには、感情に逆らわないでいることについてお話しました。
杭は固定化されて動くことはありません。どんなに強風が吹いても、その場で風に抵抗するしかありません。でも、台風のように強い風が吹くと折れてしまうかもしれません。
一方、竹は風の強さに合わせてたわみ、どんなに強風でも決して折れることがありません。そして、風がやめば、また本来の姿に戻ります。風が吹くに任せ、やむに任せているのです。
そのときどきの思いや感情に「動かされない」でいようとする必要はありません。浮かぶに任せ、消えるに任せることです。
それが「無心」となり、感情に逆らわない姿となります。それに気が付くと、心がやわらかくなり、しなやかになっていきます。