こんにちは、久川和人です。
職場や学校で人と接していると、相手の何気ない一言や行動で、
『誰かに傷つけられた』
と感じることはありませんか?
- 自分の提案の方が優れているのに、Aさんの提案が採用されたのは、Aさんの方が上司に好かれているからだ
- Aさんが大好物のお菓子を並んでまで買ってきたのにSNSにアップされていない。ありがとうなんて思っていないのだ
- Aさんは誘われたのに、何で僕は誘われないのだろう。きっと、みんなに嫌われているからだ。
これらは、僕が感じたことがある被害妄想の一部です。
あなたも同じような被害妄想の経験はありませんか。でも、このようなときって、『相手はあなたを傷つけるつもりはない』ことが多いのではないでしょうか。それがわかっているのに、『傷つけられた』と感じてしまう。
それは自分自信を過大評価しすぎているだけなのかもしれません。
そのようなとき、被害妄想を和らげるための4つのポイントについてお話していきます。
被害妄想の3つのタイプ
まず、被害妄想を和らげるための4つのポイントの前に、被害妄想になる3つのタイプについてお話します。
被害妄想になる3つのタイプは、つぎのとおり。
- 自分のうわさ話や愚痴などの悪いことが耳に入ると『裏切られた』とショックを受ける人
- 自分が不遇なのは世の中に問題があると思っている人
- 自分が他人に対して情けや哀れみをかけていると思い込んでいる人
どうしてこの3つのタイプが被害妄想になるのか説明します。
自分も他人のあら探しをして、その相手のうわさ話や愚痴をいうことはありませんか。それなのに、他人から自分のこと対して、うわさ話や愚痴を言われたらショックを受けるのです。
でも、他人から見たら自分も欠点だらけなはず。そのことを忘れているのです。
不遇とは、良い運にめぐりあえず、世間に認められないことです。
不遇なのは、たまたまか、努力不足、知識不足に過ぎないのに、『政治が悪い』、『国が悪い』、『住んでいる場所が悪い』など、世の中の構造に問題があると思いたがる人です。
他人に対して情けや哀れみをかけることは慈善家ともいいます。
自分が周りの人に対して情けや哀れみをかけているのに、期待どおりに感謝や尊敬を得られない。そうなると、『軽く扱われた』と思ってしまうひとです。
これらの3つのタイプに共通していることは、どれも『被害妄想』という感情からきていること、いずれのことでも突き詰めていくと『自分が好きでやっている』こと。しかも、『自分が大事だと思っている』だけのことなのです。
そして、
『自分が思ったことに、賛同しない人がいるのは当たり前のこと。』
なのです。
僕は、うつ病がひどいころ、この3つのタイプすべてに当てはまっていました。
- 自分でも他人の悪口を言ったことがあるのに、自分のことを言われるとショックを受ける。
- 英語がしゃべれないのは、学生のころ、学校で英会話を学べなかったからだ。
- 仕事でいつも後輩のことを気にかけて助けているのに、後輩から感謝の言葉を言われたことがない。
など、どんなことでも、誰に対しても、『被害妄想』という感情が生まれていたのです。だから、楽しいと思えることまで、いつもネガティブな発想でしか物事を見ていない。
うつ病で不安な感情でしか考えられないということもあったのかもしれません。でも、いつもネガティブな発想でしか物事を見ていないということは、『自分が好きでネガティブな発想をしていた』ということにもなっていました。
当然ですが、すべてのことが悪いという感情でしか考えられない、自分の行動に自信が持てず、他人も信用できなくなって、人間不信になります。
そうなると常に、
- 『誰かが僕のことを攻撃しようとしているのではないか』
- 『僕の親切や恩は忘れ去られて、裏切られた被害者ではないか』
と思い込み、『被害者なのに誰からも同情してもらえない』と考えるようになっていました。
人はあなたが思うほどあなたのことに興味はない
でも、『どうして同情してもらえないのか』の理由について気が付く出来事がありました。
その出来事とは、うつ病で診察の帰り、最寄りの駅の改札を出たときのこと。混雑した中、高校生が道がわからないのか、改札を出てからどちらに行けばいいのか迷っているようでした。でも、多くの人は高校生のことは気にしていませんし、見ても一瞬だけ、誰も声をかけることはしません。僕は声をかけようと思う気持ちはありましたが、人と接するのが苦手ということもあり、そのまま帰ってきてしまいました。
そして、家に帰り高校生のことを思いました。そのとき、思ったのです。
『みんな高校生に興味がない。』
つまり、あなたや僕に置き換えると、
『人はあなたが思うほど、あなたのことに興味はない。』
『僕が思っているほど、周りの人は僕のことに興味はない。』
のです。
冒頭で挙げた以下のこと。
- 自分の提案の方が優れているのに、Aさんの提案が採用されたのは、Aさんの方が上司に好かれているからだ
- Aさんが大好物のお菓子を並んでまで買ってきたのにSNSにアップされていない。ありがとうなんて思っていないのだ
- Aさんは誘われたのに、何で僕は誘われないのだろう。きっと、みんなに嫌われているからだ。
これらも、僕が勝手に思っていたり、期待していたりすること。僕が大事だと思っていることにすぎないのです。なので、誰も僕と同じことを考えているわけではなく、これらの感情はすべて被害妄想なわけです。
例えば、友人に自分の性格について意外な指摘をされて驚き、腹を立てるなんてことがありますが、それは、自分が『相手は自分を欠点のない人間だと見ているはずだ』と思い込んでいるのかもしれません。なので、欠点を言われると面白くないのです。
『何事も自分が思っていることが満たされるほどの期待をするべきではないし、満たされないとしても不満に思ったり、悩んだりするべきではない。』
結局、被害妄想の多くは、自分自身を過大評価している点に多くの原因がある。この事実は、つらい思いをすることになりますが、受け入れることができると、不満や悩みも和らぎ、幸せになれるのです。
僕は、当たり前のことかもしれませんが、
『僕が思っているほど、周りの人は僕のことに興味はない。』
ということと、つぎにお話する、被害妄想を和らげる4つのポイントを意識することで、被害妄想の意識を和らげるようになりました。
被害妄想を和らげる4つのポイント
では、『誰かに傷つけられた』と感じたとき、被害妄想を和らげる4つのポイントについてお話します。
4つのポイントはつぎのとおり。
- あなたの動機は、必ずあなたが思っているほど利他的ではないことを自覚する
- 自分の美点を過大評価しない
- 自分と同じような熱心さで周りが自分に興味を持つことを期待しない
- 『あなたを迫害してやろう』と思うほど、だれもあなたのことを思っていることはない
これらの4つのポイントについて説明します。
『誰かのためにしてあげた』という利他的な発想は、理想を押し付けたり、周囲から称賛や尊敬を得るなどして、自分が満足したいからです。
それは、利他的ではなく、『自分の利益だけを追求し、他人の立場を考えないで行動する』という利己的な動機です。そのため、自分が親切だと思っても『自分がやりたかったからやった』と割り切ることで、過度の期待をしなくなります。
他人が自分のことをうわさしている、悪口を言っているということを知ってショックを感じるのは、『自分だけは特別』と思っているからです。
あなたが人のうわさ話や悪口を言うのと同じく、あなた自身にも欠点があるはずです。自分の欠点には目をつむり長所を過大評価して、『褒められて当然』と思うことをやめること、『自分にも欠点はある』と認めることで、欠点を言われてもショックを少なく感じるようになります。
家族や親友など、どんなに親しい人であっても、あなたへ抱く関心はあなたほど強くはないのです(ただ、その人もまた、一番の関心は自分自身です)。
『自分のことを一番に考えてほしい』と思うばかりに、自分以外のことに関心を向けられると被害妄想を抱くのは、相手に利他的行動を強いていることになります。
※利他的行動・・・自己の損失を顧みずに他者の利益を図るような行動
『相手も一番の関心ごとは自分自身であってあなたではない』ということを認めることで、過度の期待をしなくなります。
周りの人が、あなたの自尊心を傷つけようとしているというのは、単なる思い込み。過剰に自分を守ろうとするあまり警戒心が強くなり、何気ない相手の一言で、『馬鹿にされた』、『嫌みを言われた』などと思ってしまう。
周りの人が『そこまであなたのことばかり考えているはずがない』ということを自覚すると、過剰な警戒心が和らぎ、ちょっとしたことでも気にならなくなります。
被害妄想を和らげる4つのポイントは、一度に全部を意識するのは大変なことです。そのため、あなたが意識できそうなことを、いずれか一つだけでも実践すると被害妄想を和らげる助けになりますよ。
おわりに
被害妄想を和らげる4つのポイントについてお話しました。
被害妄想には、つぎのような3つのタイプがあります。
- 自分のうわさ話や愚痴などの悪いことが耳に入ると『裏切られた』とショックを受ける人
- 自分が不遇なのは世の中に問題があると思っている人
- 自分が他人に対して情けや哀れみをかけていると思い込んでいる人
ただ、いずれのことでも突き詰めていくと『自分が好きでやっている』こと。しかも、『自分が大事だと思っている』だけのことなのです。
これらの被害妄想を和らげる4つのポイントとは、つぎのとおり。
- あなたの動機は、必ずあなたが思っているほど利他的ではないことを自覚する
- 自分の美点を過大評価しない
- 自分と同じような熱心さで周りが自分に興味を持つことを期待しない
- 『あなたを迫害してやろう』と思うほど、だれもあなたのことを思っていることはない
『何事も自分が思っていることが満たされるほどの期待をするべきではないし、満たされないとしても不満に思ったり、悩んだりするべきではない。』
結局、被害妄想の多くは、自分自身を過大評価している点に多くの原因がある。この事実は、つらい思いをすることになりますが、受け入れることができると、不満や悩みも和らぎ、幸せになれるのです。
一度に4つのポイントを意識するのは難しいので、あなたにできそうなことを一つだけでも意識すると、被害妄想を和らげる助けになりますので、ぜひ意識してみてくださいね。